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嘘の数だけ素顔のままで
第9章 孤立【1】
Kotobuki wrote:
〉簿記のことで聞きたいことあるんですけど
〉いまいいですか?



 コトブキはメールを数十回読み直して次のように書き直した。



Kotobuki wrote:
〉パソコンのことで何か聞きたことありませ
〉んか?



 そう書いたメールをまた消した。昔登録したことのある出会い系サイトで今のような質問メールを送ってシカトされたことをコトブキは思い出したのだった。ヒタチノゾミは鼻歌を歌うほどで、とても機嫌が良さそうだった。


 コトブキはヒタチノゾミにメールを出すことを諦めた。スマホから『みなさんエキストラの時代ですよ』にアクセスした。新着が五十七件入っていた。

 秘密クラブの電車から降りたあと一回もサイトにアクセスしていなかったとはいえ、五十七件は驚きだった。「先生」のハンドル名の横でランキングUP、という赤字が点滅していた。


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