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マスタード
第4章 運命の出会い
まさかこんな展開になるとは。恋はしないようにと決めたのにLINEや電話番号までゲットしてしまった。

「ところで奏ちゃん・・浮気はダメだからね」と愛美が急に言い出すものだから奏は驚いて目をパチパチさせた。

「さっき貴美ちゃんのこと可愛いと思ったでしょ」

そういえば貴美という名前の愛美の友達を見て可愛い人だなと少し思ったのは事実だ。それを見逃さなかった愛美はスゴいと思った。

「奏ちゃんはあたしのカレシなんだから、浮気は見逃さないよwww.まあ、他の女のコと間違いを犯すような男じゃないと信じてるけどね」と言って愛美はきゃははと笑った。

「それに貴美ちゃんの旦那はかなり恐いからちょっかいなんて出したらヒドイことになるよwww.」と愛美は悪戯っぽく笑った。

「愛美さんは?」

「あたしは自由に恋愛できる身なんだ。バツ2だけど、何か文句ある?」

2回も離婚したってことは相当辛い事情があったのだろう。でもそんなことは全く出さずに明るく笑う愛美はリサに似ているとも思う。

「ボクは・・・ボクはもう長い間家庭内別居で・・、だから離婚はできてなくて、こちらから離婚話をすれば高い慰謝料を請求されるから離婚もできない情けない男で・・」

愛美が自分のことをカレシとか言ってくれるのは嬉しいが、自分の身上を隠しておくワケにはいかないと思ってカミングアウトした。
それで嫌われてもそれは仕方のないことだとも思った。元より自分には恋愛なんてする資格はないのだから。

「知ってるよ、そんなこと」と愛美は明るく言った。「一緒に動物園や水族園に行った時と状況は変わらないんだね」

そうか、あの時にリサが事情を説明してくれたんだと思い出した。あの時と全く状況は変わらないのが情けないと奏は思った。

「だから無理なことは言わないよ。こっちにいる間だけそばにいてくれればいいから」と愛美は言った。

「ありがとう。多分あと来年度ぐらいしかこっちにはいられないと思うけど、いられる間はなるべく会いにくるよ」

「じゃあ今日は奏ちゃんとあたしの恋人記念日だね」と愛美は手際よく瓶ビールをふたつのコップに注いだ。

陽葵のジュースも用意しようと思ったが、陽葵はぐっすりお休みしていたので、もう夜遅い時間だったことを思い出した。

「じゃあ乾杯~」
「乾杯~」

二人はコップを合わせて乾杯をした。




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