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硝子の初恋
第6章 怖いくらいに幸せ
まゆながカミソリの貼り付けられたタオルで怪我をして以来、練習後に洗ったタオルは、鍵の掛けられる部室内に干す事になった。

そのおかげか、あの日以来、カミソリがタオルに仕込まれる事はなくなった。

今朝のタオルの取り込み係りは、まゆなと沙有里だ。早朝の水泳部の部室内に、沙有里の声が響いた。

「すごいエロい告白! でも、無事、高臣先輩の気持ちがわかってよかったね」

「うん!」

自分の事のように喜んでくれる沙有里。嬉しくて、まゆなは満面の笑みで頷いた。

「沙有里も侑吾先輩とたくさん話せるようになってよかったね!」

「うん! 最近、見かけると話し掛けてくれるの。もー幸せッ」

「もし、沙有里と侑吾先輩が付き合い出したら、ダブルデートとかしたいね」

「やだぁ、まゆ、気が早いッ」

顔を赤らめて言う沙有里だが、満更でもなさそうだ。

(こうやって沙有里とコイバナ出来るなんて、何か楽しいな)

高臣と想いを伝え合え、まゆなはとても満たされた幸福感に包まれていた。

怖いくらいに幸せ……

どうかこの幸せが崩れませんように……

幸福感いっぱいの中、拭えない不安。まゆなはその不安を、必死に掻き消した。
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