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硝子の初恋
第8章 かげり始めた幸せ
「さっみー!」

「鼻痛いッ!」

真っ暗な道を爆走する二人乗り自転車。

運転席には、まゆながクリスマスにプレゼントしたニット帽を深く被った高臣。

後ろには、ハートのピアスをしたまゆなが、高臣の腰に抱き着いている。

二人とも身体は完全防寒しているが、顔はそのままで、寒さに鼻も赤くなっている。

「うわっ、こっから向かい風かよ」

角を曲がり、当たる風の向きが変わる。高臣は首に巻いたマフラーを鼻の方まで引き上げた。

「眞斗、急がないと年越しちゃう! 頑張って!!」

温かい高臣の背中に顔を埋めながら、まゆなが叫ぶ。

「おし、飛ばすぞ! まゆ、ちゃんと掴まっとけよ」

高臣は先程よりも前屈みな姿勢を取り、忙しく足を動かし始めた。
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