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硝子の初恋
第10章 サヨナラの理由が知りたい
「え?」

3人が一斉に高臣を見上げる。

「渡辺って奴に強引に連れ回されてただけで、別にやましい事は何もなかった……だろ?」

久しぶりに高臣に見つめられ、まゆなは顔が熱くなるのを感じながら、コクコクと頷いた。

「じゃあもう帰るぞ」

高臣が、まゆなの腕をぐいっと引っ張り立ち上がらせる。

「あー、私と一輝はもうちょっとココにいるから。まゆ、バイバイ」

さりげなく気を使った沙有里は、笑顔でまゆなに手を振る。

「え?」

(気まず過ぎる……)

高臣にウザがられる前に、別れた事をこの後にでも沙有里に伝えようと思っていたまゆな。高臣に引き摺られるように歩きながら弁解の言葉を考えていた。

自転車置き場まで来てもうまい弁解が思い浮かばず、まゆなは高臣の手を振りほどいた。

「あの……私、まだ沙有里に話したい事があって……」

「明日でいいだろ。送ってく」

そう言ってまゆなを見つめる高臣の瞳は、切な気でどこか泣きそうにも見えて、まゆなは黙って頷いていた。
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