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硝子の初恋
第13章 男としてのケジメ
昼休み、侑吾と沙有里が、職員室で水泳部の顧問と話をしていた。

「まゆが怪我をした日の防犯カメラの映像を見たいんです」

「防犯カメラ? この前は高臣で、今度はお前たち。一体何なんだ?」

「眞斗が?」

顧問の言葉に、侑吾と沙有里が顔を見合わせた。

「先週かその前の週か……えらく思い詰めた顔してたな」

「立石が眞斗を脅し始めた頃かな?」

侑吾の耳打ちに、沙有里が頷く。

「高臣先輩に見せてあげたんですか?」

「いや……どんだけ聞いても理由を言わないから、校長に掛け合いようがなくてな…」

顧問の言葉通り、防犯カメラの映像は、校長の許可なしでは見れない。

「話さなきゃダメみたいだな」

「そうですね……」

味方はたくさん居た方がいい。
侑吾と沙有里は、つぐみとの事を顧問に話した。

「まさか立石が?! いやいや、それはないだろ」

学校での態度も完璧な優等生のつぐみ。顧問は最初、全くという程に信じてはくれなかった。

それでも、必死に食い下がる侑吾と沙有里。

「うーん……どうかなぁ……あの家は多額の寄付をしてくれてるから、校長が許してくれるかどうか……」

「周りの大人が頼りないせいで、眞斗がどんだけ苦しんだと思ってんだよ!?」

「先生! まゆの指には傷が残ったんですよ? これ以上の事が起きた時に責任取れますか!?」

2人の必死の説得に、ついに顧問が渋々頷いた。

「でもなぁ……うーん…まぁ、校長に掛け合ってはみるよ」

「やった!」

「期待するなよ……」

「先生、頑張ってよ!!」

難しい顔をしている顧問の肩を叩く沙有里。

互いの親友がまた大好きな人と笑い合える日が近付いたと、侑吾と沙有里は嬉しそうに笑った。
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