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第10章 　ギルティ

　…
　優夏は支度を終えると、急いで入口へと向った。
　しかし一足早く、内山がタイムレコーダーの前に着く。
　“なによ、もう”
　優夏は焦っていた。
　このままでは、小林と二人きりになってしまうと。

　タイムカードを機械に入れる内山。
　その様子を見つめる優夏。
「あっ..ぁっ..あれっ」
　なぜか、内山が挿入したタイムカードは、反応しなかった。
　“なにしてるのよっ、早くしてっ”
　いらつく優夏。
「なっ、なっ、なんでっ」
　内山は、カードを抜いては差す、抜いては差すを繰り返す。
　しかしタイムレコーダーは、なんの反応も示さなかった。
　その様子をじっと見つめる優夏。
　“まじっ、こいつ…いらつく”
　優夏は内山に対し、怒りを覚えるほど苛ついていた。
「内山さん、先にわたしがやります」
「ごっ..ごっ..ごめん。どっどっどうぞっ」
　優夏は強引に内山と入れ替わり、自分のタイムカードを差した。
「んっ、あれっ？」
　内山と同様に、タイムレコーダーは動かない。
「もう、なんでっ？」
　優夏も同様に、カードの抜き差しを繰り返した。
　だがやはり、タイムレコーダーは反応しなかった。