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蜜月非行【1】 〜フリーズ・破廉恥ショー〜
第3章  マジックショー
 …
 エリの負傷により、急遽演目は、カードマジックに変更された。
 イリュージョンマジックの道具が片付けられ、ステージに丸テーブルが運ばれていく。
 そして舞台の壁には、スクリーンが用意されていた。

 通常この人数でのカードマジックは、後ろの人が見えないため、行われることはない。
 そのため、2台のカメラが用意されていた。
 そのうちの1台はハンディカメラで、内山が担当となっていた。
 舞台の準備が進む中、エロックと内山が打合せを進める。
 出番を待つ優夏も、マリから説明を受けていた。
「とにかく優夏さんは、私の言う通りにすればいいですから」
「はぁ、はい…」
 気のない返事の優夏は、緊張に包まれていた。
 “こんな格好で、みんなの注目を浴びるなんて…”
 そんな優夏の目に、小林部長の姿が映る。
 小林は、エロックと内山の打合せに加わっていた。
 いやらしい笑みを浮かべながら話す三人。
 “なんか、嫌な予感がするんだけど…”
 その三人の様子を見つめる優夏は、不安に駆られていた。
 …
 準備が整い、エロックが舞台に立つ。
 観客の中から、二人の男性が選ばれ、舞台へと上がる。
 二人の男性が丸テーブルの前に座ったところで、エロックから声が掛かる。
「それでは、ショーを盛り上げてくれる、アシスタントの登場です」
 会場に大きな拍手が起こる。
「じゃー優夏さん、行きましょ」
 舞台袖で待つマリが、優夏の手を取りステージへと進んでいく。
「おおぉぉぉ、待ってましたー」
 再び登場してきた、二人のビキニ美女に対し、野太い歓声が上がる。

 男達の熱い視線を受けながら歩を進める、優夏の足取りは重かった。
 先ほどと違い、今度は演目の中心となる優夏の緊張感は、計り知れないものであった。
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