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蜜月非行【1】 〜フリーズ・破廉恥ショー〜
第6章  トラップ
 …
 優夏はマジックショーのあと、手品師のエロックから茶封筒を渡された。
 あとで確認したところ、中身は現金3万円だった。

 マジックショーで酷い目に遭った優夏だが、現金を手にして気持ちは変わっていた。
 優夏は転職により給料が下がり、生活は苦しかった。 
 催眠術師から頼まれた物と聞いて、まず間違いなく現金だと確信する優夏。
 エロックからの謝礼と同額、いやそれ以上と予想した。

 小林は応接室まで行き、スポーツバッグを持って戻ってきた。
 “部長がスポーツバッグ?”
 優夏は違和感を感じながらも、謝礼金(予想)の登場を待つことにした。
 小林は席に着き、バックを足元に置き、その中を漁り始めた。
「あれっ、どこやったかなー」
♪ガチャガチャッ
 椅子に座り、前かがみで机の下のバッグを漁る小林。
 “そのスポーツバッグに、なにが入っているわけ?”
 机を挟んでいるため、優夏にはバッグの中身は見えない。
 ただ、固い物同士がぶつかる、耳障りな音が優夏は気になっていた。
 “まさか、現物支給じゃないわよね…”
 一抹の不安が優夏の頭をよぎる。

 壁時計を見ると、丁度バスの時間を指していた。
 “この時間だと、次が最終よね”
 “まあ、歩いてもたいしたことないし…”
 優夏には歩き慣れた道、夜道でも苦とは感じない。
 それだけ臨時収入は、優夏にとって嬉しいことであった。
 “ていうかっ!長くないっ”
 “それは四次元バッグかよっ”
 ずっとバッグを漁り続ける小林に対し、優夏は心の中でつっこみを入れた。
 次の瞬間、小林が頭を上げた。
「ふー、やっと出てきたよ」
 その手には、茶封筒が握られていた。
 “よしっ”
 謝礼は現金だと、優夏は確信した。
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