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好きと依存は紙一重
第5章 好きと依存は紙一重
「お前、それ本気か?」
「……本気だけど」
 聞いたことのない低い声で問われ、思わず固唾をのむ。顔を見れば、いつ手元のお冷をかけられるか分からないほど、怒りに満ちていた。冗談だと茶化そうとしたが、お冷をかけられるだけでは済まない気がして、開きかけた口を閉じる。

「そりゃ俺はお前と一緒で、恋愛感情なんか知らねーよ。けど、お前みたいに軽視はしてない。他人にいちいち一喜一憂するのはアホくさいっていうお前の考え、分からなくもないが好きじゃない」
「そう、だからキスはしないと?」
 日向は短く息を吐き、舌打ちをする。「なんで分からないんだ?」と言われているようで、恐怖を覚えるのと同時に少し腹が立つ。

「連が来る前は欲求不満のお前を抱いたりもしたが、あれはお前となら後腐れがないからだ。連の気持ちを知ってる以上、お前にそういったことをするつもりはない」
「連がアタシのこと好きだから、キスしないの?」
「……簡単に言えばそうだ。なぁ、なんでアイツが劇団名をjesterにしたか知ってるか?」
 日向から予想外の質問をされ、思わず固まる。連からは人を楽しませるのはお道化の仕事だからと聞いている。ただの道化師では品位がないから宮廷道化師を意味するjesterにしたと。それを日向に伝えると、呆れ返ったようにため息をつかれた。

「その反応からして、ヒューはjesterにした本当に理由、知ってるんだね」
「まあな。その口ぶりだと、その説明で納得してなかったみたいだな。少し安心した。jesterができたばっかの頃、この恋はきっと叶わない。お前を幸せにするためなら、道化にでもなるって言ったんだ。それが本当の理由だよ。jesterは、お前を雇うために作ったらしいしな」
「連が、そんなことを……」
 自分がどれだけ溺愛されているのか、改めて思い知らされた。jesterを作った理由も、jesterと名付けた理由が別にあるのもなんとなく察してはいたが、すべて自分のためだったと思うと嬉しさと罪悪感で胸がいっぱいになる。
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