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S級有害図書
第4章 「宇佐美玲の場合」
 玲から三年振りにメールがきた。
「よう、誠。元気にしてるか。アメリカの高校に留学してから一度も帰省してなかったが、今年の夏は帰ろうと思う。遊びに行くから、久しぶりに会おうぜ。玲」
 玲は中学卒業と同時にアメリカの祖父の所へ留学して、三年の間帰ってこない薄情な親友だ。とはいえ、俺はあいつのことが大好きで、あいつのためならなんだってやれると思っている。いざという時が来れば、いつだってあいつのために戦ってやる。
 車両が一両しかない電車がホームに到着する。玲を駅まで迎えに来たつもりだったが、見当たらない。髪の長いサングラスの女性とすれ違う。今日じゃなかったのか?勘違いしたのか?
「おい、お前」
後ろから声をかけられる。振り返ると、先ほどの女性がこちらを指差している。
「お前、誠か?」
「え?」
女性がサングラスを外す。見覚えのある顔がそこにあった。
「玲か?」
「誠。お前、身長どんだけ伸びてんだよ。デカ過ぎだろ」
「お前こそ、髪は長いし、女っぽくなったというか・・・」
誠の腹に正拳を叩き込む玲。
「それを言うんじゃねえ」
「悪りぃ・・・そうだったな」
玲は三人の兄を持つ末っ子で、男と同じ境遇で育った。できるなら男になりたいと本人はいう。ガキの頃はよく喧嘩して泣かされたものだが、中学生だった頃はほとんど感じることのなかった違和感が俺は気になった。あいつの正拳突き、こんなもんだっけか?
「さて、せっかく帰ってきたんだ。久しぶりに沖縄の海を満喫させてくれよ」
「ああ。まかせとけ」
駅から出ると、停めてあった車に玲を案内する。民宿に部屋をとり、荷物を預けて、早速海へ行くことにした。滅多に人の来ない穴場の海水浴ポイントへ玲を連れて行く。駐車場に車を停め、海へ一気にダイブする。なんつったってこれが一番気持ちいい。昔は玲もよくやったんだが、玲は続かなかった。
「本当に相変わらずだな、お前は。ガキの頃とは違うんだから、服のまま飛び込むんじゃねえよ」
「お前はやらないのか?」
「水着あるから、車借りるぜ」
「ああ」
 車の中で着替え始める玲。後ろを向くが気になって、少し振り返ってみる。少し驚いた。
シャツを脱ぐと、ブラジャーをした玲がいた。
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