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S級有害図書
第6章 「橋下芽生の場合」
 食器を洗い終わり、洗いカゴの中に積み上げると、風呂場から大きな物音と芽生の小さな悲鳴が聞こえた。俺は慌てて脱衣所の扉を開けて中へ入る。
「芽生っ、どうした?」
「ダメっ、入らないでっ」
「えっ」
脱衣所に車椅子が置かれ、風呂場の扉が開け放たれたままで、中が丸見えになっている。洗い場で倒れている芽生。そしてそれは一糸纏わぬ女子中学生の裸の姿だった。
「いやっ、見ないでっ」
「あっ、ご、ごめん」
俺は風呂場の扉を閉め、曇りガラス越しに話しかける。
「どうしたんだ?」
「ちょっと滑って、洗面器をひっくり返しただけですから」
「・・・ならいいんだが、大丈夫か?」
「・・・」
「・・・どうした?」
「・・・ひとりだと浴槽に入れなくて」
「・・・ど、どうしたらいい?」
「・・・め、目をつぶって貰えますか?」
「わ、わかった。・・・入るぞ」
俺は目を閉じて、ゆっくりと風呂場の扉を開ける。見えてはいないが、そこには全裸の芽生が横たわっているはずだ。手探りで中へ入っていく。
「もう少し右です。あ、そこで・・・」
俺は手を伸ばして、彼女の肌に触れる。
「・・・んっ」
裸の背中とお尻に手を回して、彼女を抱き上げる。隠すもののない全裸を男の目の前に晒して、素肌に触れられているんだ。きっと彼女の頬は真っ赤に染まっているんだろう。すべすべの肌の柔らかい感触が、俺の背徳感を刺激する。彼女をゆっくりと湯船に降ろすと、彼女は恥ずかしそうに礼を言う。
「あ、ありがとうございます」
「あ、ああ」
風呂場の扉を閉めると、脱衣籠に脱いである彼女の中学生らしい下着が目につく。一瞬だったが、洗い場で倒れていた娘の全裸の姿が、脳裏にこびりついて離れない。髪をあげ露わになったうなじ。胸からお尻にかけて女性らしく丸みを帯びた身体のライン。わずかに感じる胸の膨らみの先にちょこんと座った薄い桃色の小さな突起。一本の草木も生えていない綺麗な丘を縦に走る小さな断層。娘への背徳感が俺を支配し、耐えきれずにトイレへ駆け込んだ。
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