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夏といえば、寄宿舎生活だよね?
第2章 女子5人と1つ屋根の下に?
じい~~~~~ッ
僕は、10個の瞳でめちゃくちゃガン見されていた。
美少女たちに見つめられるのはうれしいが、彼女たちの視線には<疑い>と<興味>のないまぜなものが含まれていた。

「ねえ…、男の子!きみ、誰?」
「え…、いや、僕は、き、寄宿舎生、だけど…」
ショートヘアの背の高い女子にせまられ、僕はしどろもどろ。その子は背は高いといっても、僕と同じくらいか、少し低い感じ。その子の目はとても大きくぱっちりとしていて、その黒い2つの大きな瞳が僕をじいっとにらむように見つめてくる。
「そんなことは分かってるよ?だから、きみって、どんなひと?」
ここで僕は、ふと思った。
『あ、そうだ。僕は確かに万引きをしたけど、この子らには何も悪いことはしていないんだ。ここは堂々とすればいいんだ』

「そういう…おまえたちは、どういうひとなんだよ?」
僕は尋ね返した。
すると。
「わたしは、中2の国語成績、全国トップのユキヨ(悠紀代)!」
と背の高いショートヘアの女子が、言った。
「わたしは、中2の数学成績、全国トップのツグミ(津久美)!」
と背のすらっとした髪の伸びた女子が、言った。
「わたしは、中1の英語成績、全国トップのカリナ(香梨奈)だよ~!」
と背のちっちゃいショートヘアの女子、
「わたしは、中1の理科成績、全国トップのナナミ(奈々未)~」
と背のちっちゃいツインテールの女子。
「わたしは、中1の社会成績、全国トップのサヤカ(紗耶香)です~!」
と背のちっちゃいロングヘアの女子。

『えええええ…?????』
そう、この5人は、まさにこの国立寄宿舎生にまっとうに選ばれた、この国家のトップクラスの才女たちだったのである。

「それで、きみは?」
とユキヨがせまってくる。他の女子たちも、僕を囲む輪を狭めてくる。
僕は、一瞬ウソをつこうかと思った。
<僕は、美術の成績が全国トップで…>
とか。ここには私物いっさい持ち込み禁止だし、ごまかせると思った。
しかし。
『1度ウソをつくと、それにどんどんウソを重ねていき…』
そんなの、いやだ。息が詰まる。それにすぐには抹殺されないようだし、しばらくこの子たちと1つ屋根の下で暮らすことになる。自分を飾ってもしょうがないなと思った。

「ぼ、ぼくは、最高50点しか取れないバカで、そんで最底辺補欠の運動オンチで、犯罪を…万引き事件を起こしてここに…」
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