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息子の嫁
第1章 嫁との晩酌
何もする事のない私は、ふと柱時計を見た。

彼女が部屋から出て行き未だ、十分とも経ってはいなかった事に気ずき想わず苦笑いをした。

俺は、何を期待してのるかと、そう思ったからだった。

私なら、十分もあればお風呂から上がるのに……

これまで私は彼女の何を、彼女のどこを見てたのか?

実のところ本当は、息子の妻だということもあり私は彼女と、向き合ってはいなかったのではないだろうか?

今まで考えたり、思ったりしなかった事が次々と脳裡に浮かんだ。

そして私は、ある事実に気ずいた。

息子が始めて彼女を紹介する為に連れて来た時、私は彼女に一目惚れしてしまってた事だった。

その時、彼女は息子の恋人だったし結婚してからは息子の妻だった事が……私は、その事を忘れるように毎日、手作りのお弁当を持たせ

優しく声を掛け送り出してくれ、それが何時しか彼女が居て、そうしてくれてた事が当たり前のように私は彼女から目をそらし

何時しか自分では気ずかぬ内に彼女を、無視してたのではないだろうかと、その事に気が付き愕然とした。

彼女が私を好きと云った言葉が、頭から離れなくなってもいた。

真顔で云った時の顔が鮮明に浮かびあがり私の心は穏やかではなかった。

私は彼女を、ずっと好きだった事を悟られまいと自分でも気ずかぬ内に彼女を無視し

それはまるで空気のように居る事すら感じまいとしてた事に改めて気ずかされたのだった。
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