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第24章 最終章

「じゃあ、あのイワナは天然の……。」

「あれは去年、私が釣って、おばあさんが焼いて干した物だけど……気に入ったのかい？」

「はい。イワナを酒につけて呑んだ時のお酒は、絶品でした。今は、手間が掛かるから誰も造りませんからね？」

「じゃあ今夜も、イワナ酒と行きますか？」

「ありがとうございます。今日は、病院に行き何か欲しい物がないかを妻に聞き、家に取りに行きます。」

「じゃあ今夜は？」

今夜は、私の家で寝ようかと……。」


この時、私が帰らぬ事を知った時に、彼の寂しそうにしてた顔が、やけに私は気になった。


「そうですか。じゃあ明日は？」

「明日は病院にいきその後、家に帰ろうかと…。」

「それじゃ疲れるだろう…。私の、家に泊まりながら病院に通ってはどうですか？」

「でも――これ以上、熊谷さんに、ご迷惑を掛ける訳には――」

「ばあさんが寂しがるだろうなあ……。第一、私が、ばあさんに叱られます。立花さんさへ良ければ、戻って来て欲しいんだが、どうだろう？」


とても親切にしてもらった、ご夫婦に私は、逆らえなかった。


「じゃあ妻が、退院するまでお世話になります。」


「ほう…。良かった。これで、ばあさんに怒れずにすむ。彼奴は情が厚く涙もろいから……。」


「そうですか？奥さんも同じ事を云ってましたけど…。」


「似た者、夫婦ですかなあ……。」


そう私に、云い彼が笑った。


昨日、大きな声で私を叱った彼とは、真逆な感じがした。


お昼ご飯を食べた後、私は病院に向かった。助手席には彼も同乗してた。


病院の駐車場に着き、麗奈の部屋へと急ぎ中に入ると彼女は起きてベットに座ってた。