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地味子が官能小説を書いたら
第11章 ラストショー

「花音先輩、まずいって、止めましょうよ、自分が何してるか分かってるんすか?」

大通りの賑やかさから、いっぺんに雰囲気が変わる。

妖しい色のネオンが敷き詰められた建物が立ち並ぶ一帯は、都内でも有数のラブホ街だ。

ラブホと言えば、あれだ。男と女がエッチをするためのホテルだ。

もちろん、私は入ったことどない。こういう場所に来るのも初めてだった。

しかし、分かる。そこに入ることが、何を意味するか。



文剛と桐谷は、腕を組んだまま、ネオン煌びやかな建物の中に入って行った。



私は、呆然と立ち尽くす……

分かっていたのに……しかし、現実を突きつけられると、頭が真っ白になり、私はまた馬鹿な行動を起こしていた。


「わたしたちも入ってみよ」

私は、流留の手を引いて、文剛たちが消えたホテルの入り口をくぐった。


「え、え、え? ちょ、花音先輩?」



二人とも初めて入るため、受付で手間取ったが、私たちはホテルの一室に入る事が出来た。



「へ~、中って、こんななんだ、初めて入った……」

流留はキョロキョロと部屋の中を見渡した。

「で、花音先輩と、あの人、背の高い人、どういう関係なんすか?」

「ここに入ったことと関係してるんですよね?」


私は、流留の問いかけに答えず、今、別の部屋で文剛と桐谷が何をしているのか、に思いを巡らせていた。

今頃、二人は、かつて私と文剛がしたことを、同じ屋根の下でしている。



胸が焼ける……

苦しい……

こんな気持ちから解放されたい……


私は、大きなベッドの上に身を投げた。


(もう……いいや……)



「流留……」



「わたしのこと、まだ好き?」


「え、当たり前じゃないっすか」




「だったら、見せて、わたしに、あなたの気持ちを……」

「な、なに言ってるっすか?」


(そうだ……流留で良いじゃない……)






「わたしの処女をあげる……」


これでいいんだ……フライングになったけど、弁岳には明日、必ず断りを入れる。


「いいよ、すきにして……流留」



目を閉じて、流留を待った……




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