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地味子が官能小説を書いたら
第11章 ラストショー
「きっと……彼は優しいから、わたしを傷つけたと思って、謝りたかっただけなんだと思う」

「そっか、あいつも不器用なんだね、謝るだけなら、あんな乱暴しなくても良いのに」

文剛も、私に負けず劣らずの不器用者だ。もし、どちらかがもう少し人付き合いが上手ければ、私たちは友達関係を続けられたのかもしれない。

「それで早川にフラれたとして、そうしたら、ナガルのこと考えてあげるの?」

「う……ん、それも、今のところないかな……」

昨日の流留の言葉を思い出し、胸がズキンと痛む。


「そうか……なんか、上手くいかないね」
「自分が好きな人が、自分の事を好きになってくれる、こんな単純なことがどうして凄く難しいんだろ?」


本当に、そうだ。単純なのに難しい……





ーー補講が終わり

遥と待ち合わせしているという美鈴と別れ、私は正門へと向かった。

今日は、弁岳が夜景を見に行こうと言う事で、正門前まで車で迎えに来てくれることになっている。

ムードある夜景を見た後、弁岳に断りを入れる……考えてみれば残酷な仕打ちだ。

もっと早く、答えを出すべきだったと、今更ながら後悔する。


正門の前、見慣れた赤いスポーツカーが停まっている。車中に弁岳がいる。


私の姿に気づくと、弁岳は車から降り、助手席を開けてくれた。

紳士的で、大人で、私なんかにもったいないくらいの人格者なのに、私は振ろうとしている。ジワリと、波が押し寄せた。

「ごめんさい、待たせちゃった?」

「大丈夫だよ、時間通りだ」

私が助手席に乗り込むと、弁岳はドアを閉めてくれた。聞きなれた重厚な音が響く。

その時、正門から出てくる文剛が見えた。彼も私たちの事を見ている。

(どうしよう……)

つい先日、自分の事を好きだと言った女の子が、もう別の男の子の車に乗って出かけようとしている。彼は、私のことを軽い女だと思っただろうか?

文剛は、プイと反転すると、猛然と学内へ戻って行った。

(また一つ、ハードルがあがってしまった……)

どの面をさげて、彼にもう一度『好き』だと告げれば良いのだろう。


「花音ちゃん?」

「ん?」

「車、出すよ。大丈夫?」

「うん、ごめんなさい、ボーとしちゃって、大丈夫よ」


「じゃあ、予定通り、どこかで軽く食事して、稲城市方面へ」

「はい、運転、お願いします」



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