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地味子が官能小説を書いたら
第6章 悲しみ深すぎて
次の講義は、必須科目だから同じ文学部の文剛も受講する。

文剛に纏わりついている女の子たちはついてこないはずだ。教室を出るタイミングで文剛を捕まえて、一緒に次の教室へ移動する間に謝るんだ。

私がタイミングを見計らっていると、文剛が席を立ち、女の子たちは手を振ってバイバイをしている。

(今だ!)

と、その時。

「あれ、綾瀬さんだよね?」

「え?」

話しかけてきたのは、同じ文学部でやはり同じ文藝サークルの蜂矢美鈴(はちやみりん)だった。

「どうしたの?凄いイメチェンじゃない」

(ああ、文剛が行ってしまう)

「う、うん。バイトの収入が結構あったんで、少しはオシャレしようかと思って」

「へ~、そう言えば早川君も今日、イメチェンしてたね、偶然?」

「え、そうなの?気づかなかった」

(ひゅ~、ひゅ~)心の中で口笛を吹く。


「気づかないって、あなたのすぐ前に座ってたのに」

「あ、眼鏡してなかったからかな、コンタクトを買うお金がなくて、勉強の時以外は眼鏡外しているんだけど、良く見えなくて」

(く、苦しいか)

「そうか、綾瀬さん眼鏡外してた方が良い感じだものね、それに凄くスタイルが良いのね、サイズいくつ?」

「え?えーと、上から、86 - 58 - 82、だったかな」

「ええええーーーー、ウエスト58しかないの?!」

「う、うん、普段ロクなもの食べてないので……」

「バストって何カップ?」

そんな話をしているうちに、次の講義を受ける学生が入ってくる。

「綾瀬さん、次、12号館だよね?」

「うん」

「一緒に行こう」

思わぬ邪魔が入り、またしても文剛と話すチャンスを失ってしまう。

キャンパスを移動しながら、私は美鈴の質問攻めにあう。


「うらやましいな~スタイル良くて」

「いや、そんなことないよ、わたし太っているし」

「いやいや、それ嫌味になるからwww」と美鈴は笑う。


「いや、マジで、わたし太って見られるもの」

「そりゃあ、先週までの野暮な格好してれば、そう見られるわよ」

「あ、ごめん、オブラートに包まず言っちゃった」とまたも美鈴は笑った。


「そうだ!綾瀬さん、水曜日の夜って空いてる?」

(水曜日どころか、基本、わたしはオールフリーだ)

「別に予定はないけど」


「じゃあさ、合コンに出てくれない?」




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