この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
地味子が官能小説を書いたら
第7章 この夜に乾杯!

---------- 【破】イヤな奴は意外とイイ奴だった⑩ ----------
ホテルを出た後、紗栄子は杏果と一緒に近くのワインバルにいた。
紗栄子のデビューのお祝いにと、立花が3万円を渡してくれたのだ。
「それじゃあ、デビューおめでとう!」
「ありがとうございます」
紗栄子と杏果は、ビールの入ったグラスを合わせた。
キン、と短く金属音が鳴る。
「紗栄子ちゃん、いけるくち?」
「えへへ、実はわたし、フライングなんです」
「フライング?」
「来月20歳なんです」
「聞かなかったことにするわ」
「えへへ」
「ところで、紗栄子ちゃん、このままAV女優を続ける気?」
25万円も手に入った。十分だ。しかし、紗栄子は海にまた会いたいと思っている。
もしかしたら、このままアダルトビデオに出演し続けていれば、何処かで海に再会できるかもしれない。
「最初は、今日の1回だけで辞めようかなと思ったんですけど、もう少し続けても良いかな、なんて考えてます」
「そう、だったら社長に仕事を取って来てもらうわ、極力安全な仕事を回してもらうようにする」
「あぶない仕事もあるんですか?」
「AVをプロデュースする会社はたくさんあるの」
「中には過激なものを撮る会社もあって、そういうとこは女優を使い捨てにするのよ」
「社長は、お調子者にみえるけど、スタッフは大切にする人だから信頼はできると思う、ちょっとお人よしだけどね」
「どうして杏果さんは立花企画で働いてるんですか?」
「私も、紗栄子ちゃんくらいの時にAV女優をしてたの」
(やはり)、かと紗栄子は思った。でなければ、代役するなんて平気で言えるはずがない。
「私、そのころ大学生だったんだけど、元カレがヤバい人で、借金をいっぱい作っちゃって、私が返済してたのよ」
「ええええーーーー、海って、そんなに悪い奴だったんですか?」
「紗栄子ちゃん……あなた、もしかして少し天然入ってる?」
「私が大学生の時、海くんは中学生よ、私、犯罪者になっちゃう」
「あはは、そうですよね、あはは、冗談ですよ、そんなこと分かってますよ」笑ってごまかす紗栄子。
「その時、社長に助けてもらったの」
「へ~、立花さんって、単なるスケベおやじかと思ってた」
「まあ、スケベは否定しない」

