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地味子が官能小説を書いたら
第10章 初夏の頃

予定通りのルートを走り、途中、ファミレスで夕食をとり、八王子の近くまでたどり着いた頃には夜の7時を過ぎていた。
「あと、もうすぐで八王子かな、ちょっと渋滞に巻き込まれたけど概ね予定通りだね」
「小机君、ずっと運転だったけど疲れてない?」
「大丈夫、僕は運転好きだから」
「わたし、はじめてドライブ連れて行ってもらったの、自由にいろんな所に行けるから良いね、今度は海に行ってみたいな」
「そう言ってもらえると嬉しいよ、今度はバイクで出かけてみようか?」
「わあ~、わたしバイクに乗ったことないの、乗ってみたい」
「あと10分もせずに着くよ、直接アパートまで送るね」
「うん、ありがとう」
車内には朝と同じように、ジャズが静かに流れていた。
すれ違うヘッドライトが、時折、弁岳の顔を照らす。
「僕は今まで、勝てる勝負しか挑んでこなかった……」
(?)
唐突な話の内容に、私は、弁岳の横顔を見る。
「僕は、臆病だから、負けることが怖くて勝ち試合しか戦ってこなかった……」
「小机君?」
「でも今、僕は敗色濃厚な勝負に挑もうと思ってる」
「あの……何の事?」
す~、とひと呼吸し弁岳は間を取った。
「僕は花音ちゃんのことが好きだ」
(!!)
「僕と付き合ってください」
「あの……その……わたし、今は誰とも付き合うとか、そんな気になれなくて……」
「うん、分かっている、きっと花音ちゃんには好きな人がいるんだろうなって思った」
言葉が出ない私。
「今日も、誰かが花音ちゃんの中にいたのかな、そんな気がしたよ」
「……」
図星を指され、私は何と返答すれば良いのか、考えをめぐらす。
「もし、花音ちゃんの中にいる誰かが、まだ花音ちゃんの心を完全に奪えていないのなら、僕に1ミリのチャンスをください」
「小机君……わたし……」
「あ、さすがに1R KOは勘弁してね」と弁岳は笑う。
「直ぐに結論は出さなくても良いよ、僕にとってバッドエンドでも、絶対に後悔はしない」
「だから、それまでは、デートに誘うね」
「うん……」
(どうして、流留にしても小机君にしても、こうもストレートに相手に気持ちを伝えることができるのだろう?)
車が私のアパートの前で止まる。
「じゃあ、また連絡する」
「うん、今日はありがとう」
「あと、もうすぐで八王子かな、ちょっと渋滞に巻き込まれたけど概ね予定通りだね」
「小机君、ずっと運転だったけど疲れてない?」
「大丈夫、僕は運転好きだから」
「わたし、はじめてドライブ連れて行ってもらったの、自由にいろんな所に行けるから良いね、今度は海に行ってみたいな」
「そう言ってもらえると嬉しいよ、今度はバイクで出かけてみようか?」
「わあ~、わたしバイクに乗ったことないの、乗ってみたい」
「あと10分もせずに着くよ、直接アパートまで送るね」
「うん、ありがとう」
車内には朝と同じように、ジャズが静かに流れていた。
すれ違うヘッドライトが、時折、弁岳の顔を照らす。
「僕は今まで、勝てる勝負しか挑んでこなかった……」
(?)
唐突な話の内容に、私は、弁岳の横顔を見る。
「僕は、臆病だから、負けることが怖くて勝ち試合しか戦ってこなかった……」
「小机君?」
「でも今、僕は敗色濃厚な勝負に挑もうと思ってる」
「あの……何の事?」
す~、とひと呼吸し弁岳は間を取った。
「僕は花音ちゃんのことが好きだ」
(!!)
「僕と付き合ってください」
「あの……その……わたし、今は誰とも付き合うとか、そんな気になれなくて……」
「うん、分かっている、きっと花音ちゃんには好きな人がいるんだろうなって思った」
言葉が出ない私。
「今日も、誰かが花音ちゃんの中にいたのかな、そんな気がしたよ」
「……」
図星を指され、私は何と返答すれば良いのか、考えをめぐらす。
「もし、花音ちゃんの中にいる誰かが、まだ花音ちゃんの心を完全に奪えていないのなら、僕に1ミリのチャンスをください」
「小机君……わたし……」
「あ、さすがに1R KOは勘弁してね」と弁岳は笑う。
「直ぐに結論は出さなくても良いよ、僕にとってバッドエンドでも、絶対に後悔はしない」
「だから、それまでは、デートに誘うね」
「うん……」
(どうして、流留にしても小机君にしても、こうもストレートに相手に気持ちを伝えることができるのだろう?)
車が私のアパートの前で止まる。
「じゃあ、また連絡する」
「うん、今日はありがとう」

