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体育倉庫のハイエナ
第1章 1
 奈津子の上半身には、ブラウスとブラジャーの残骸が、まだ纏わり付いている。

 僕はそれらを、やや苦労しつつも、さらに細かく引き千切って、そこから取り去った。
 
 続いて奈津子に跨ったまま、身体を180度クルリと反転させて、奈津子の下半身のほうを向いた。

 それから奈津子の右足を抱えて、白いミニの靴下を脱がせ、その次に制服のスカート――オリーヴグリーンのプリーツスカート――のホックを外した。

 僕がそうしている間――当たり前の話だけど――奈津子は狂ったように暴れた。

 でも、たとえ僕が高校三年生の男子としては非力でも、やっぱり奈津子よりは物理的に強かった。

 結局、スカートを剥ぎ取った後、今度は左足を捕まえて、そこから靴下を取ることに成功した。

 こうして、奈津子を白のパンティを穿いただけの格好にした時、レンヤが僕に声をかけた。

「そこまででいいよ、ヨシタカ……」

 見上げると、レンヤとマサムネも下着姿になっていた。

 レンヤは黒のビキニパンツ。
 
 マサムネはグレーのトランクス。

 レンヤが言った。

「あとは、俺たちがやる……」

『あと』というのは、パンティを脱がせることだ。僕は心の中で、レンヤを軽く恨んだ。

(ちぇっ!…本当はパンティも、ボクが脱がせたかったのに…) 

 そんな未練で僕が少しもたついていると、レンヤが鋭い口調で怒鳴った。

「さっさと、どけッ!」

 僕は慌てて奈津子の身体から下りた――そうして出来た一瞬の隙を突いて、奈津子は立ち上がった。
 
 まさに脱兎の如くといった感じで、体育倉庫の引き戸に向かう。

 でも、そんな奈津子を見ても、レンヤもマサムネも、そして僕も特に焦らなかった。 

 何故なら、奈津子が逃げ出せないことを僕たちは知っていたからだ。

 パンティだけを穿いた姿では、体育倉庫から一歩たりとも外へ足を踏み出せないことを、知っていたからだ。

 因みに着るべき制服も、ついさっき僕がビリビリに引き裂いた。
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