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イキ狂う敏腕社長秘書
第6章 【錯綜していく感情】







何も変わらない朝。
いつも通り支度を済ませ今日のスケジュールを再確認する。
すぐに私の携帯が鳴った。
社内モードに入っている私はすぐに出る。




「おはようございます、社長」




かけてきている理由を知っているから“どうしましたか?”は言わないでいた。




__おはよう、体調はどう?




昨日何であの子と居たの?って聞かないんですね。




「ご心配おかけしてすみません、大丈夫です」




__出社してるのか?




「はい、もう着いております」




__そうか、大丈夫そうなら安心した 




鼓膜をくすぶる安心感のある声。
年上の余裕ってやつを見せつけてくる。




__あまり無理しないようにな




そう優しく接して、何人も虜にして来たのでしょうね。
すみません、明里さんから聞いてます。
だからこそ……適度な距離感で居なければならない。




まだ、この身体を使って誘惑など出来ないのに。
まだ、赤い跡が無数にあるのに。




“そんな美雨を見たらあの人どう反応するかしらね”




それは試せってこと…?
浮気してますって証拠見せるの…?
自ら…?私が…?




「社長………待ってます」




__うん、もうすぐ着くから




「はい、お迎えに上がりますね」




__ああ、今日も宜しく頼むよ





社前ロビーにて。
本日は自家用車ではなく送迎用だなんてどうしたんだろうか。




「社長、おはようございます」




「うん、おはよう」




爽やかな笑顔はお変わりない。
タブレット片手にスケジュールの確認をしながらエレベーターに乗り込む。
2人きりになった途端、タブレットを支えていた手を握ってきた。




「やっと触れられた……上に着くまでこうさせて」




「は、はい……」




一緒に前を向きながら指だけを絡ませている状況。
やはり特殊な関係なんだと思い知らされているみたいだ。
強くは握らず、優しく絡ませる指先。




着いて扉が開く寸前で離れた。




部屋まで珈琲をお持ちするとジャケットを脱ぎベスト姿で英字新聞に目を通してる。
いつもの風景なのに意識しているのは私だけだろうか。
いつもよりセクシーに見えてしまう。











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