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イキ狂う敏腕社長秘書
第6章 【錯綜していく感情】
何を動揺してしまっているのだろう。
冷静にならなきゃ。
ゆっくり視線を上げて交わった。
「そのまま俺の事、嫌いだって言える?本当に何も思わないなら言えるはずだ。今だけ上司も部下も関係ない」
言えば……………終わるの?
「ズルいです……女側に選ばせるなんて」
「俺は言ったよ、美雨を失いたくない、お前の態度や言動ひとつで天と地がひっくり返るほどなんだ」
だったら尚更この手振り払えないよ。
あなたにはいつもしっかり歩いていてもらわないといけないから。
そのトップを支えるのが私の仕事で使命だから。
少し曲がってしまったネクタイを真っ直ぐにしてあげたら顔が近付いて来て受け入れてしまう。
甘噛みしてさっき止めたばっかなのに。
自分から絡ませてるなんてチョロ過ぎでしょ、私。
「美雨……終わるのなんて嫌だからな」
「でも、一線くらい引かせてください」
「ダメだ」
「こっちの気も知らないで……バカ」
「え…?」
業務中に何てこと言わせるの。
バカな不倫女が職場で喚き散らすみたいになるじゃない。
でも口は勝手に開いてトドメを刺しちゃうの。
「……どうやったってあなたは手に入らないんだから一線くらい引かせてよ!」
ポカンと開いた口が塞がらなくなってたかも知れない。
そのまま逃げ去ってしまったが、再び部屋を訪れる。
風邪薬と体温計を持って来たのだ。
ずっと立ったまま固まっていた社長をソファーに座らせる。
体温計を渡し計ってもらったら37度5分と微熱。
すぐに薬も飲ませクッションを置いて横にならせた。
「15分でいいから寝てください」
「いや、でも仕事が……」
「いいから寝て!」
「はい、すみません」
よっぽどさっきの一言が効いたのか素直に従ってくれる。
「ちゃんと起こしますから安心してください、メールチェックして急用の分ピックアップしておきますね」
「ありがとう」
目を閉じたのを確認して社長のデスクに座り淡々とチェックしながらフォロー出来るところはないか模索していた。