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イキ狂う敏腕社長秘書
第6章 【錯綜していく感情】
10分でメールチェックを終わらせスケジュール調整に入る。
優先順位をつけて後に回せるものは全て回した。
そうすればあともう少し眠らせてあげれる。
15分とは言わずにあと1時間くらいは。
後回しにした案件をメモにしデスクに貼り付ける。
スヤスヤと眠る社長にブランケットを掛けその場を後にした。
簡単には言うがスケジュール変更というのは尋常じゃないくらい緻密な帳尻合わせが必須となる。
ようやく私もそれを1人でこなせるまでになれた。
念入りのフォローと人脈が全て…とも言える。
そして、意地でも定時であがる。
スケジュール変更したからと言って残業していたら元も子もない。
第一、そんな仕事の仕方は社長が許さないだろう。
いつも間近で見てきたから。
盗めるものは目で見て盗んでます。
頃合いを見て社長を起こしに行くとまだ気持ち良さそうに眠っていた。
あどけない寝顔……よっぽど疲れてたんだな。
昨日、眠れなかったって私のこと考えてたから…?
平気で私、マコさんに抱かれてたのに。
ううん、マコさんじゃなくても社長以外に抱かれてる。
社長の前で叶わぬ恋に悲しむ秘書を演じながら違う誰かに濡らされてるの。
最低だよね………こんなに胸が締め付けられるのに保険たくさんかけてる。
本気で傷付くのが怖くて。
失った後が怖くて。
何も残らないのが怖くて。
その場しのぎの繋ぎばかりで嫌になる。
いつこの夢が覚めてしまうのか。
「社長、お時間です」
肩をトントンするとハッと起き上がる。
「ごめん、寝過ぎた?何時?」
「10時5分です」
「おわっ、めちゃくちゃ時間経ってるな…」
「済ませれるものは済ませています」
「ありがとう、あ……これも」
掛かっていたブランケットを指している。
「いえ、熱……もしかしたら昼から上がってくるかも知れません。なるべく無理はしないようにお願いしますね?身体が壊れたら元も子もないですから」
「………そっくりそのまま美雨に返すよ」
うっ………絶句。
昨日の自分がそうだっただけに反論出来ず。
大きな手が私の頭を撫でる。
最近じゃ、この距離感に戸惑うのは何故だろう。