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イキ狂う敏腕社長秘書
第11章 【静かに狂い咲くように】
手を繋ぎたそう。
キスを強請る時の目……今はしないで。
「じゃあ、道案内……宜しく」
並んで歩くけどそこはちゃんと距離を保ってる。
他愛もない話で間を繋ぎ彼の地元へ。
家に向かう途中でスーパーに立ち寄り食材を購入する。
「もしかしてオムライス?」
「わ、バレた!」
「好きだよ、オムライス」
「デミグラスかけても大丈夫ですか?」
「え、本格的……めっちゃお腹すいてきた」
「僕が出来る唯一の料理です」
「アハハ、そうなんだ?楽しみ」
兄弟多かったよね、確か。
お兄さんの方がよく料理していたらしく任せっきりだったとか。
恥ずかしそうに話す横顔とか好きだな。
スーパーを出てすぐ。
「やっぱり、美雨さんは凄く綺麗な人です」
「え、何?急にどうしたの?」
「知ってました?スーパーに居たお客さん、ほとんど振り返って見てましたよ美雨さんの事……何か隣に居るのが僕で申し訳なくなっちゃいました、すみません」
ちゃんと今でも距離を保って歩こうとしてくれるキミに。
「こっちです」と寂しそうに笑うキミに。
「私も持つよ」とスーパーの袋を持つフリをして手を繋ぐ私に笑っちゃうくらい挙動不審で焦ってる。
手汗半端ないね。
謝らなくて良いんだよ、可愛いから。
7階建てのワンルームマンション。
「お邪魔します」と入った玄関。
結構小綺麗にしてある。
もしかして、今日の事計画してたのかな。
「あ、あの、此処に座って待っててください」とクッションを差し出してくれた。
へぇ、バスケ好きなんだ。
色んなグッズが置いてある。
トントントン…とまな板の上で野菜を切る音が聞こえてきてしばらく待ってたものの、意外と私はジッとしてるのが出来ないらしく。
良い匂いに釣れられてくっつきに行ってしまう。
終盤に差し掛かっているからもう大丈夫だよね。
「わわ、もう終わります、すみません遅くて」
「ううん、美味しそう」
「あとは盛り付けるだけです」
「え、終わったの?」
「はい、えっとお皿……あっ」
一生懸命おもてなししようとしてくれているのにその手を止めてまで夢中な彼の唇を奪っちゃったらどうなる…?