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イキ狂う敏腕社長秘書
第11章 【静かに狂い咲くように】
「課長は毎回会議とかで顔合わすから慣れてるんでしょうけど、僕ら一般社員は憧れの的なんすからね、真田さんは」
今度は泣き出すとかなかなか忙しい子だ。
他の人たちからも介抱されて課長も困り顔。
「わかるよ!私たちだって今日舞い上がってるもん!」
まさかの同担!
いや、私そこまでの人間じゃないから。
「彼氏居るって本当ですか」って問い詰められるし。
課長の前で言えって?
どう誤魔化そうか。
「えっと………居ます…ね」
その一言で再び盛り上がる始末で後の質問には当たり障りない程度に答えてた。
この会社に居るのかって?
ご想像にお任せします。
居るけどね。
何やら喚いているような魚住さんに丁重にお断りさせて頂いた。
「彼が良い気しないと思うのですみません」
「うぅ……やっぱり本当に居たんですね」
「はい……もし居なかったとしても魚住さんには教えないですね」
笑顔でそう言う私に周りは驚いているだろう。
一瞬で空気が凍りついたかも知れない。
割とこういうのはズバッと言っちゃうタイプなので。
ドン引きしたければどうぞ。
魚住さんの顔を課長の方へ向ける。
「だってあなたの上司困ってますよ?上司と一緒に来ておいて潰れるとか有り得ないですね、私、そういう常識ない人無理です」
「は、はい………すみません」
「それでも最後まで付き合ってくれる永田課長に感謝するべきです、かなり部下思いな方ですよ」
「わ、すみません課長!」
「わかったならもう良いから……程々にな」
照れてる課長も想定内なんで。
無礼講なんて言われてるかも知れないけど私は彼がこの中ではトップで立てるべき人だと部下には伝えておきたかった。
少しやり過ぎた感も否めないが。
「はい、烏龍茶」
「い……いただきます」
素直にゴクゴク飲む彼の乱れた前髪を直してあげるのは罪なのか。
優しく微笑むのはアメとムチだと思って私はするのだけど。
「もう少しノウハウ覚えてからまたお話聞きますね」
「は、はい!頑張ります!」
「それ言うの私にじゃなくてこっち」とまた顔を課長に向けてあげると周りも笑う。