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イキ狂う敏腕社長秘書
第11章 【静かに狂い咲くように】





結局「真田さんの対応力が素敵」となり思った以上に飲まされた。
さり気なくお酒の入ったグラスを烏龍茶と取り変えてくれる課長は大人だなって思う。




いつの間にか隣をキープしてきて違うグループ同士で楽しく話しているのにテーブルの下でバレないよう手が触れていたりして、久しぶりにドキドキ感を味わっていた。




お開きとなりそれぞれがタクシーに乗り込んでいく。
たまたま同じ方向の人が居たので同乗しようとしたら腕を引かれ乗り損ねた。
それは誰なのか見なくてもわかる。




「お疲れさま、気を付けてな」




タクシーに乗り込んだ社員に声をかけ見送った。
もう誰ひとり残っていない。




「あの、今日は……あっ!」




手を引かれそのまま駅とは真逆の方へ歩いて行く。
もうひとつの大通りへと出てタクシーを拾った。




「あの、課長、今日は本当に帰ります」




「送るから乗って」




無理やり乗せられ運転手に告げた場所は知らない地名。




やっぱり………2人きりだとこうも変わるのか。
強引過ぎて話す気力も失せていく。
窓の外の流れる景色を黙って見ていたら案の定手を握られる。




「彼氏って?」




さっきの飲み会でのやり取りをむし返してきた。




答える必要あります?
そう目で訴えていたら握る手の指を絡めてくる。




「あれって咄嗟についた嘘?それとも……」




今日は本当に帰らないといけないのに。
もしかしたら社長、来てるかも。
遅いと心配して電話がかかってくるかも知れないし、焦ってメールだけ先に送っても家まで来ていたとすれば嘘だと一発でバレる。




自分で撒いた種とはいえ、完全に私を抱こうとしてるよね課長は。
きっと向かっているのは自分の家か。
はたまた行ったことのないホテルなのか。




もうどっちでもいい。




「ねぇ、本当に…っ」




帰るって言おうとする前にキスして来ないで。
タクシーの中だよ!?
絶対運転手さんに見られてるよ。
手で押し退けて窓の外に顔を向けた。




20分ほどで到着し手を引かれ降りていく。




此処どこ?
初めて来る場所だ。
キョロキョロしているとグイグイ引っ張られる。










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