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夏の終わりに
第10章 休息
時間は三時半過ぎ。

夕食を作り始めるには早い時間帯だけど……

浩人は悩みながらも台所に立った。


帰省してからと言うもの、千里は一人で家事をこなしている。それをありがたいと思う一方で、千里が無理をしているようにも思えて心配だった。手伝いたくても、その隙さえ与えてくれない。
自分も一通り出来るのだと教えて、千里の負担を少しでも軽減したかった。

それに……、

作っている間くらいは、スケベなことを考えずに済むだろう。


浩人は自分の考えに苦笑する。


冷蔵庫の中身をチェックして、美也子が愛用している料理本をペラペラと捲った。

豪勢に見える料理で、手軽に作れて……

見栄を張れて、自分の実力に見合っていて、経済観念があることを証明出来て、なおかつ千里が喜んでくれる料理。そんな都合の良いものがないかと、真剣にレシピを吟味した。
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