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第20章 【彼女がその日の彼。2】

「おかえりなさいませ…!」
「起きてたの?!」

そんなこんなで今現在、午前2時。
過去に思いを馳せているうちに何となく寝そけてしまい、揃って帰宅を遂げた彼らをリビングで迎え入れるに至った。

「寝てていーのに。でなー麗なー」
「…。後で聞いてやるから待ってろ。電話」

振動するスマホを片手に、麗さまの姿は廊下へと消えた。流星さまはにこにことした表情でわたしを見下ろす。それはまだ、『彼の日』が有効だからだ。
うう…。罪悪感に苛まれつつ、わたしは『その日』であることを告げた。

「じゃ、しょーがねーな」

意外にも彼はあっさりとした反応。失望させた?反応に困ってしまったわたしはつい「何なら他所の方と…」と口を滑らせてしまった。

「何おまえ、ナメてんの?」

途端に彼の表情が変わる。怒鳴られる…?!身構えたわたしにかけられたのは、溜息からの静かな声だった。

「疲れさせんなよ疲れてんだから。言わなかったっけ?俺そんなにセックス好きじゃねーんだよ。そもそも他人に触られんのがまず嫌いだし」
「え…え?!だ、だっていつもあんなに…、その…」
「そりゃ未結だからだよ。俺他の女なんか触りたくも触られたくもねーし。チ◯コ触られた日なんかそいつ埋めるね」


流星さまは嘘をつかない。
違う。嘘をつけないのだ。


「俺に触る女は俺が決めんの」


つまりおまえ。と、彼は言った。
まっすぐな言葉とまっすぐな瞳は
いつもわたしを射抜いてくれる。
…弱いわたしは惹かれてやまないんだ。

「でも溜まるだろ?だから自分ですんのよ。抜かねーと具合悪くなるしね。おまえいつから生理?なに、昨日?じゃ麗もオナッてんじゃね?どんなスカしてよーが野郎も男だもん」
「そうなん…ですか?わたし先に寝ちゃって…」
「聞いてみ」

そこで本当にタイミングよく、電話を終えた麗さまがリビングに戻ってきた。言われるまま声をかけたところでハッとする。
……聞けるわけないじゃない!!!

「なに?未結」
「……」
「どうしたの?」

次の言葉を待ってくれている麗さまと、その正面で俯き無言のわたし。それをとても楽しそうに眺める流星さま。

人って色んな面があるけれど
『本質』は変わらないのね…

どんな時でも自分に忠実なマイペースな人。それが彼。


「やっぱ俺には未結だわ。俺おまえ大好き」
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