この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
BeLoved.
第20章 【彼女がその日の彼。2】
彼はそこに自分の手を重ねると、わたしの手ごとゆっくり上下に動かし始めた。
「…未結の手、あったけー…挿入れてる時みてー…」
手が速さを増していくのに比例して、彼の存在が強くなっているのが分かる。その先端が徐々に潤んできているのも。「先走り」と教えてくれた彼の声も、さっきよりずっと艶を増していて…わたしの奥がきゅんと疼いた。
「…未結俺さ、こーやって…指先でグリグリってすんの…好きなのね」
自嘲するような口調。彼はその言葉通り、自分自身から滲み出る蜜を親指の腹で先端に塗り付けていった。
滴り落ちる彼のそれは、わたしの指もいやらしく濡らしていく。
くちゅくちゅと鳴り立つ卑猥な音に、頭の芯が痺れていくような感覚に酔いしれながら。わたしは自分の意思で彼を上下に扱き続けた。
「流星…ま、気持ちいい…ですか…?」
「…っ、うん…すげー…いいよ…。っ…」
闇に慣れた目は彼の表情もしっかり捉える。
快楽に支配されて歪み、もっと、もっと、とねだるような表情。そうさせているのが他でもない『わたし』だと思うと、ぞくぞくしたものが込み上げてくる。
流星さまに初めて抱かれた夜にも感じたもの。
これは何なんだろうか──…わからない。
考えるのはやめた。今のわたしはただ、彼を癒してあげたかったから。それができるのはわたしだけ…ううん。『わたしだけ』であって欲しいから。
「…!…やべ……っ、イきそ…」
「!あ…、……っ!」
わたしの手の中に放たれた、真っ白な欲望。重力に従いそれはゆっくりと下へ滴り落ちていく。彼の下衣、わたしの寝間着、ベッドのシーツを汚しながら。
放たれた瞬間の律動もその暖かさも、全てわたしの手の中に色濃く残しながら。
「…すげー気持ちよかった」
「ん……」
素直な言葉と共に、ちゅ、ちゅ、と啄むようなキスが顔中に降り注ぐ。
「っあ"〰〰未結ー!俺もーおまえ大好き!」
「!お…重たいです…!」
ほんの数十分前とは大違い。いつもの彼だ。
流星さまはじゃれるように抱きついてきた。
「……未結、頭撫でて」
「…!…はい」
汚れていない方の手で、求められるままやわく頭を撫でながら、思う。
流星さまに限らず、人って色んな面があるんだ。強さ、弱さ、優しさ、怖さ、独占欲。本当に色んな。こんな風に…可愛いところも。