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BeLoved.
第21章 【世界はそれを暴君と呼ぶんだぜ】
「……何、それ」
梅雨真っ只中の6月。とある日曜日。
その日は久々に晴れ間が訪れた。
朝食後の一服をベランダで楽しむご主人様たちの視線は、リビングに姿を表したわたしに一気に集中した。その理由は、わたしの格好。
「何って…高校の時のですよ?ほら、3年1組朝比奈って」
胸元に、校章と名札が縫い付けられた真っ白な半袖。
紺地で脇に白いラインが入ったハーフパンツ。
そう、どこからどう見ても体操着だ。
裾を引っ張りながら、そのまんま素直に説明した。ちなみに靴下は白で、くるぶし丈のもの。涼しくて気持ちいい♪
「バカ、違げーよ!何でそんな格好してんのかって聞いてんの」
呆れた様子で返してきたのは流星さま。麗さまはどうでもいいといわんばかりに、そっぽを向いてしまった。
「今日やっと晴れましたからね!徹底的にお掃除します!」
右手をぐっと握りしめ決意を示し、意気揚々と答える。梅雨らしく、雨続きだったこの数日。今日のこの天気を無駄にしたくない。
洗濯物を外干ししたい。
布団を天日干ししたい。
換気扇や網戸も洗いたい!
やりたいことが目白押し。
「この格好なら、汚れても大丈夫ですからね。それじゃ、始めまーす」
パタパタと駆け出し、まず向かうはお風呂場。
隅々まできれいにしたい!!
「何でまた選りに選って…って、なんだ麗、どした」
「……俺無理。直視できない」
そのあとの彼らの会話も、手で顔を覆った麗さまがベランダの手すりに突っ伏したのも、もちろんわたしは知る由もなかった。