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BeLoved.
第21章 【世界はそれを暴君と呼ぶんだぜ】

「流星さま!失礼します!!」

ドアを勢いよく開け、中に押し入っていく。目的は寝具の回収。ベッドに寝転び携帯を構っていた部屋の主は、突然の来襲に固まっていた。

「どいてくださーい」
「え…、あぁ…うん」

彼はすんなりとベッドを降りてくれた。そのまますぐ側のパソコンデスクから引き寄せた椅子にこちらに背を向けて腰かけ、再び携帯を構いだす。
いつもなら絶対こっち見るのに。更には触れて来たりもするのに。…期待なんかしてない!いつもと違う行動が気になっただけ!

…さて、目的は果たした。だけど…。ちらと視線を向けるが、彼は結局一度もこちらを向くことはなかった。…何か変。もしかして具合でも悪い?…そうだ。

「…流星さまー」
「わっ」

そっと近付き肩に手を乗せ、背後から覗き込んでみる。油断していたのか、彼は珍しく驚きの声を上げた。と同時に携帯が床に落ちてしまう。

「…何すんだよ。もーいーんだろ?行け」

謝るより先に、回収した物と一緒に廊下に追い出されてしまった。「もう来んな」そんなご命令も頂戴して。

─────

「…ごめんね、今、会いたくない」

続いて麗さまの部屋を訪れる。ドアには鍵がかけられていた。ノックのあとの呼びかけに返ってきたのは拒絶の言葉。?!何で?狼狽えるわたしに、容赦無く拒絶の声は続く。

「だから、あっち行ってくれる?」

その後もドアの向こうからは、俺がどっか行くからとかなんとか声は続いていたけれど…耳に入ってこない。だんだん涙が滲み、怒りも湧いてくる。両手の拳でドアを思い切り叩きながら叫んだ。

「何なんですか?!お二人とも!!」
「っ、未結?!」
「避けるだけなんてずるいです!!」

そうしているうちに、鍵が外される音がした。そしてゆっくりとドアが開いていく。半分まできたところで麗さまがやっと顔を覗かせた。

「…叩かないの」
「だって…」
「手、痛める…」

興奮していたため、わたしの頬は紅潮し呼吸は荒い。目には涙を滲ませている。それを見て麗さまは息を飲んだ。
直後、せっかく開けられたドアは再び閉ざされ、また開かれた時には彼の手には白い布。

「…これ!」
「!」

いきなり頭から被せられたそれは、Tシャツだった。麗さまのものだから、わたしが着るとまるでワンピースのよう。

「なんでこんな…」
「…いいから!オイ流星!ちょっと来い!!」
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