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BeLoved.
第24章 【彼が一番食べたかったもの】
「なに考えてたの?」
解放されて。絶頂を迎えた体を投げ出し余韻に浸っている最中だった。
わたしの足元に胡座をかいて座り、いつの間にか手にしていた避妊具の封を切りながら彼は独り言のように呟いた。
「流星のこと?」
息が止まった。
彼の視線は自分の手元。わたしを見てはいない。声にだって冷たさはない。でも全身が凍りついた。
悟られた。とても否定はできない。すぐに見破られる筈だし、却って火に油を注ぐことになりかねない。
飛び起きたくても一線を越えたばかりの体は重く、言うことを聞かない。ひたすら「ごめんなさい」を繰り返すしかなかった。後から思えばそれは『彼』が心にいたことを肯定するもの以外の何者でもなかったのだけれど。
「いいよ。考えてて」
「…!」
焦りと混乱に陥ったわたしに返ってきたのは許しの声。そして…
「全部塗り潰してあげる」
計り知れない独占欲と支配欲を孕んだ、静かな声と居抜くような眼差しだった。
─────
「…て、まって…!麗さ…」
「だめ。待たない」
絶頂を迎えたばかりの今、どこを触られても過敏に反応してしまう。彼は構うことなく組伏せると脚を開かせ、繋がるための体勢に持ち込んでいった。
「いま…、だめ…ですっ…!…ひあ…っ!」
拒絶の声も体の強張りもものともせず、彼の分身はわたしを切り拓いた。…苦しい。正直そちらの気持ちの方が勝っていた。じりじりと突き上げられて呼吸も満足にできない。ただただされるがままもがいていた…その時だった。
「あ……っ?…やだ…っ、なに…?!」
『その感覚』が突然姿を表したのだ。それは、彼自身がわたしの奥へと進んでいくに比例して色濃くなり、強さを増していく。
「…痛い?」
「!…ちが…何か…へん…っ…」
力を抜いてと優しく諭す声。わたしは首を左右に振って訴えた。果てたばかりで敏感になりきっているせい?…違う、違うの。それだけじゃない…!
彼の愛撫で外側も内側もたっぷり潤っていたその場所は、もう侵入者を拒みはしない。避妊具が張り付く痛みも、違和感もない。あるのは…名前の知らない『この感覚』だけ。
『彼』と同じことをしているはずなのに
『彼』との時に感じたものとは全く違う快感。
それはとろけるくらい甘くて…
たまらなく気持ちよくて。
「……ん」
そしてそれは、彼も感じていたのだ。