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第2章 【彼ら】

「…ごめんね、ここのことは姉貴に聞いたの」
「あ…羅々さまだったんですか」
「俺も朝比奈さんには恩があるから」

羅々(らら)さまは、麗さまの3歳年上のお姉さま。おばあちゃんの奉公先の一つだったおうちの奥様だ。

本当はいけないんだけど、おばあちゃんと羅々さまは仕事以外でも交流があった。個人的に会ったりもしていたみたいだし、そう言えば年賀状も届いていたっけ。

わたしが麗さまのもとで勤め始めたのも、羅々さまからご紹介頂いてのものだったし、羅々さまはおばあちゃんの通夜にも葬儀にも参列して下さった。

「俺が無理言って聞き出したから、姉貴は責めないでやって。ごめんね」
「そんな…!もちろんです!」

羅々さまは気さくで優しくて、わたしのこともまるで妹のように可愛がってくれる大人の女性。
お仕事は歯科医師で、ご自分のクリニックを経営されている多忙な方。わたしに断りを入れている暇なんかないはずだ。
情報の出所がわかり、かえって安堵している自分がいた。
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