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BeLoved.
第24章 【彼が一番食べたかったもの】
『幸せか?』
その言葉は頭の中で静かに反響した。
幸せかどうか…なんて。そんなこと。
こんなにも愛され甘やかされて
守られ大切にされて慈しまれて。
幸せじゃないはずがない。
まっすぐ見つめてくる彼の漆黒の瞳。
まっすぐ見つめ返しわたしは答えた。
「はい」と。
「…そっか。じゃーいーや」
「流星さま…?」
「ヘタ麗ー、茗荷刻んでー」
珍しく彼の方から瞳は逸らされて。そしてわたしの頭を軽く撫でると、再び台所の方へと戻って行ってしまったのだった。麗さまの「テメーでやれボンクラ」の声がする…
「たい焼き残ったらお前食うよなー?麗」
「今日は無理。久々に腹一杯なったから」
「……」
流星さまが今見せた、いつもと違う表情
麗さまが今言い放ったいつもと違う言葉
──そう。確かにこの日からだったのだ。
わたし達の関係が、僅かに変化したのは。