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BeLoved.
第26章 【所詮は僕らオスなんです】
腹の虫の鳴き声を彼らに聞かれるより早く、注文した品が運ばれてきた。
並盛のわたしに対し、彼らの丼はまるで洗面器のような大きさ。麗さまに隠れがちだけど、流星さまもたくさん食べるんだよね。
黙々と箸を口に運ぶ彼らを横目で見やりながら、わたしは少し前に雑誌で見た記事を思い出していた。
彼氏や旦那さんへ作る料理の特集で、そこに『男は丼が好き』て一文があった。『丼にしておけば喜ぶ』とも。
何となく手抜きっぽく感じられちゃうかなって先入観があって、おうちでは作ったことなかったんだけど…今の食べっぷりを見ると、わたしが間違っていたみたい。
今度作ってみよう。そう思いながらトッピングのとろろを掬い、口に運んだ時だった。
「っ、あ……」
箸が滑り口の端から一筋垂らしてしまった。…何やってるのわたし、みっともない。中指の腹でそれを伝い取り、ちゅ…と吸い取った直後。
正面と真横から強烈な視線を感じた。
「…どうかしましたか?」
…もちろん、その視線の送り主は彼らだ。箸を空中で止めてじーっとこちらを凝視している。
わたしの指摘の声に、彼らは我に帰ったようにハッとし揃って「何でもない」と口にし目を逸らした。
丼を抱え込むように、心なしか先程よりテーブルに上体を伏せて。
「馬鹿だよな…」
「…ホントにな」
「?」
ほんの数分前とは打って変わって自嘲する口調で頷きあう彼ら。『男は視覚からの刺激に弱い』意図せずそこを突いていたとは思いもしないわたしは、ただ首を傾げるだけなのだった。