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BeLoved.
第27章 【カレハミエルヒト。】
8月始めのある休日。初めて3人で遠出をした。
どうしても行ってみたかった、某県の屋外型ショッピングモール。最初は一人で電車で来るつもりだったんだけど…ご主人様たちが連れて来てくれた。心配だし、流星さまが新車の足慣らしもしたいからって。
幸い渋滞に巻き込まれる事なく到着し、案の定周囲の視線を集めつつあちこち見て回ってお買い物をたくさんして……色々買っても頂いて。少し早めのお夕飯を済ませ、午後6時を回った今。帰り際になって……。
──────────
「麗ー、帰りお前運転して。俺つかれた」
行きに運転してくれた方のまさかの発言。
(わたしは免許を持っていないので戦力外)
「……仕方ねぇな」
ため息をこぼしつつも、麗さまは運転席に乗り込んでくれた。私服にサングラスを掛けた風貌は怖いけれど(ごめんなさい)何だかんだで彼はやっぱりやさしい。
「未結ー、おいで」
後部座席に乗り込んだ流星さまが、自分の隣をぽんぽんと叩きわたしを呼んだ。隣へ来い、の合図だ。
はい、と返事をし従う。直後に肩を抱かれ、頬に口付けられた。
「……もういい?」
運転席から聞こえた低い声と、普段の眼鏡に掛け換えていた麗さまがルームミラー越しに向けてくる突き刺さりそうな視線に固まる。
何故なら今日のご主人様は彼だから。
「すっ、すみません…」
呼ばれたら、従う。もはや条件反射になっていて、何も考えていなかった。反省しつつそっと離れる。
「…未結はこっち。来て」
麗さまの左手が助手席のシートをぽんぽんと軽く叩く。先程の流星さまと同じように。
「あー癒された。じゃ俺、寝るわ」
ふわ…と欠伸を漏らし、腕を組んで座ったまま流星さまは早々に寝息をたて始めた。その寝付きの早さに思わず苦笑してしまう。あちこち連れ回しちゃったから疲れちゃったよね。暑さもあったし。
助手席に移ったわたしがシートベルトを締めたのを確認し、麗さまは車を走らせたのだった。