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BeLoved.
第28章 【カレハミエナイヒト。】
それはある夜のことだった。
夕食後。3人揃って、リビングでくつろぎながらテレビを見ていた時。
なにげなくベランダに続く窓ガラスに目をやったわたしは、凍りついた。
カーテンが引かれていない窓の向こう。時刻は夜の9時過ぎ。外は暗闇。そこに映し出されるのはこちらと同じ光景のはず。
しかしひとつだけ明らかに違うものがあった。
…子供がいたのだ。
男の子。肌は真っ白。ボロボロの服を身にまとい、両手をぴったり窓ガラスに押し付けて、こちらを覗き込んでいる。生気が感じられない穴ぼこのような真っ黒な瞳は…まっすぐこちらを見つめていた。
目があった次の瞬間。
『…おねえちゃん…おじちゃん…あけて…』
耳にじゃない。頭の中に直接、そんな声が響いてきた。まっすぐわたしを見つめる子供。その口元はニイィッと釣り上がり、不気味な笑みを浮かべている。