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第28章 【カレハミエナイヒト。】

「────きっ…きっ…きっ…きいやあああああっ?!?霊!霊!霊ー!!」
「?!未結どうしたの。なに」

絶叫し騒ぎ立てるわたしの真横で、自分が呼ばれたと勘違いした麗さまが怪訝な表情を向けてきた。

「ちちち違います麗さまじゃないです!おばけです!おばけ!!そこ!!!」
「おばけ?……流星どう?居んの?」
「あ?あー、居るよ。窓の外」

わたしと麗さまの向かいに座る流星さまの方を見ると、彼はテレビから視線をずらすことなく答えた。しかしその表情は険しい。

「未結も無視してりゃいーのに。何でいちいち反応するかね」
「なにが居んだよ」
「8歳くらい?の小僧。開けろって」
「いやああああ!!!」

やっぱり見間違いじゃなかった。
完全にパニック状態に陥ったわたしは、再び絶叫してしまう。

「よしよし…未結、落ち着いて」

麗さまは即座にわたしを胸に抱き、視界から窓ガラスを遮ってくれた。
静かな声でなだめられ、頭を撫でられる。けれども、恐怖で高鳴る鼓動は収まらない。

窓ガラスの方からは、嫌な気配がひしひしと伝わってくる。…まだ、いる。
こっちを見てる。…嫌だ、嫌だ、怖い!

『あれ』が見えない麗さまにはどうすることもできない。…頼みの綱は流星さまだけだ。

抱かれる腕の隙間から、流星さまの方に視線を向ける。…相変わらず険しい表情。そんなに危ない幽霊なの?!


「おいガキ」

束の間の沈黙のあと、徐に彼は口を開いた。
まさかの直接対峙。どうなってしまうのか…

無力なわたしは、情けないかなもう一人の主人の腕のなかでただ震えるしかなかった。

「そこは"お兄さん"だろ」
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