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BeLoved.
第28章 【カレハミエナイヒト。】
………………え?
……そ、そこ?
……その仏頂面も、まさか『おじちゃん』呼ばわりが気に障ったから…なの…?
拍子抜けしたわたしは麗さまの腕をすり抜け、ポカーンとした表情で流星さまを見つめた。
「消えろ」
最後にそれだけ。静かに短く吐き捨てるように、流星さまは言い放った。
果たして子供の霊は無言のまま、フッと姿を消したのだった…。
──────────
「なー未結、ひでーよな!?おじちゃんはねーよな!」
「そ、そ…デスネっ?!あはは?!」
よほど納得いかなかったらしく、ぶーたれる流星さま。それに対し、わたしはひきつった笑みを返すしかなかった。
「何二人で盛り上がってんだよ。で?そいつまだ居んの?」
麗さまはいつの間にか窓ガラスの前に移動していて、外を覗き込んでいた。見えないとはいえなんて大胆な行動をとるのかしらこの人は…。
「あー麗もう居ねーよ。何てことない、ただの浮遊霊。偶然波長あっただけだし心配ねーよ」
「よ…よかったです…。…はぁ」
何はともあれ危険な部類ではなかったみたい。ほっと胸を撫で下ろした瞬間、ふわ…っと、夜の風が舞い込んだ。麗さまがベランダに出るため、窓ガラスを開けたのだ。
「あー。俺も一服してくるわ」
その後に続き、流星さまも煙草を手にし外に出ていく。わたしは慌てて閉められかけた窓ガラスに駆け寄った。
「まっ、待って下さい!」
今は一人になりたくない。
彼らの後を追い、わたしも慌ててベランダに飛び出した。
手すりにもたれかかる彼らの真ん中。丁度人ひとりが入れるくらいの隙間に、やや強引に入り込んだ。