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BeLoved.
第32章 【白い檻】

「…未結ちゃん、声大きい」

背後から苦笑混じりに呟かれた。

「我慢できない?」
「らって…ぇ、それ…らめぇ…っ」


彼は疼きを小刻みに突く。わたしがそうされるのが大好きって、感付かれてしまったから。

崩れてしまわぬ様に力を入れた下肢は、彼と繋がっている感覚をより意識させる。…怖いくらい気持ちよくて。
呂律の回らない、情けない声で返すしかなかった。



「…仕方ないね」
「んぅっ?!」

誰が来てもどうとでもするけど
こちらから誘い出すことはない

それが彼の考えらしい。固くしなやかな指が二本、わたしの咥内に差し込まれた。

「舐めてて。噛んでもいいよ」
「…。…ぁ…ふうぅっ…」

唾液が落ちていく。だらしなく、はしたなく、彼の指を伝って。声が上がりそうになる度に、わたしはその指に夢中でむしゃぶりついた。それこそ時折、歯を立てて。
──その姿はまるで、おあずけを解かれご馳走にありついた犬そのものだった。


体の中も外も、気持ちいいところばかり触れられて。頭の芯が溶けていくのがわかる。

「かわいい、未結…っぁ…」
「……!」

それでも、大好きなご主人様の声は聞き逃さない。『わたし』に溺れ艶を帯びた、優艶な声。

今どんな表情をしてるの?
今どんな気持ちでいるの?

それらは確かめようがない。だから想像する。
麗がどれだけわたしを欲し貪っているのかを。


彼の日ではない日に彼を自ら求めて
こんな場所で受け入れているわたし

どうしてこんなに気持ちいいの…?
どうしてこんなに興奮してるの…?


──流星には内緒だよ


ああ…『それ』だ…


「…未結ごめんね…イキそう」
「っあ…」
「このままでいい?」

荒い呼吸に紛れた、余裕のない声。指も引き抜かれた。麗がわたしの唾液にまみれたその指をしゃぶる音が聞こえる。

「このまま…が…ぃ…、っあああっ!」

動きが変わった。彼が昇り詰めるための、荒いものに。壊れてしまいそうなのに、どこか優しくて…

「…大好きだよ、未結」
「ったし…、わたし…もっ、すき…っ、だいすき…!」
「…離さないからね」


散々愛撫され続けた疼きに放たれたもの。
避妊具越しでも、その甘い熱は全てをとろけさせた。


…ああ。麗さまは本当にいろんなことを教えてくれる。
愛されること、気持ちいいこと、そして…『いけないこと』も。
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