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BeLoved.
第35章 【hey my friend.】
…な、何でそうなるの??
無論、そんなわけない。だって弟さんには…
「いや、ずっと片想いしてる相手がいるって」
さらりと返した麗さま。そうそう、弟さんには中学時代からずっと好きな人が…って、わたしも最近知ったのに、麗さま何で知ってるの?!
「ん?今彼とL1NE中だから」
あ、なるほど。…って!いつの間にそんなに距離を縮めたの?!
「行動早えーな!お前潰す気満々だったんじゃん、麗!」
「人聞き悪りぃな。親近感わいたんだよ」
紫の年子の弟さんは、紫にかなり振り回されてきている。わたしの知ってる限りでも、やれ荷物持ちにされた、カップルデーに駆り出された、仕事で行けない紫の代わりにお店の行列に並ばせられた…等、色々あった。
考えてみれば、それは全部麗さまも経験済み。合い通じるものがあったのね…人の縁て、どこで繋がるか分からないんだなあ…
「ふーん。ねーちゃんに逆らえねーヘタレ同士、波長合ったって訳か。よかったな」
「…流星お前まだ寝惚けてる?殴ってやるから目ぇ覚ませば?」
麗さまがこちらを向いた。冷めた眼差しで。彼の中の禁忌に触れられ、一瞬で室内が不穏な空気に包まれてしまった。
「ぇえっと…の、呑みましょう!」
「は?」
打破する方法を考えあぐねたとはいえ、何でこんな突拍子もない言葉が出てきたんだろうか。
二人の「何言ってんだこいつ」の眼差しが痛い。…しかし今更後には引けない。
「も、もうわたしも帰りましたし、お二人とも普段あんまりお酒飲みませんよね?!った、たまには良いじゃな」
「俺は飲"ま"ないんじゃなくて飲"め"ねーの。一発で喘息出るから」
わたしの言葉を遮り背後から聞こえた静かな声。血の気が引いていった。
「ごごごごめ、なさ…っししし知らなかったんです!流…」
慌てて声の主の方を向き、しどろもどろになりながら謝罪の言葉を紡ぐ。しかし当の彼に特別変化はない。
「いや別にいーんだけどさ、それでなくても飲ませねーよ。なー麗、な」
「うん。流石にもうあんな修羅場は御免だよ、未結ちゃん」
「しゅ…?!な、何のことですか?」
穏やかでない物言い。今度は麗さまの方を向き直り身を乗り出した。麗さまはそんなわたしを一瞥すると、小さくため息をつき流星さまに視線を移したのだった。