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BeLoved.
第35章 【hey my friend.】
『エロ未結』…?なにそれ。
思い出話…じゃないけど、彼らはまだその時のことを振り返り話し込んでいた。
「未結、帰りの車で爆睡したろ。後部座席で寝っ転がって大口開けて。可愛かったけど」
「そーかぁ?寝返り失敗して転げ落ちたときは焦ったけどな。こいつそれでも起きな…あ、てことはアレも覚えてねーんだ?」
ま、まだ何かあるらしい…でももうこれ以上の失態も衝撃もないだろう。その期待は、あっさり覆されることになった。
「そのままゲ◯吐いたの」
「──ったく流星テメーはなぁ!」
消えたい。全力で消えたい。
一瞬で無になったわたしの頭上で言い争いが聞こえるけど…聞こえない。聞こえない…
「それ言う必要ねぇだろボンクラ!」
「いーだろ別に。俺何とも思ってねーし」
「思ってるから言うんだろ…」
…念じたけど、大好きな声はよおく聞こえた。
吐いたあとのわたしはスッキリしたのか再び爆睡。それを部屋まで運んでくれたのは麗さま。吐いたものの始末は…意外や意外。流星さまがして下さったそうだ…
その後は寝かされた自分のベッドで気持ちよくおねんね。…かと思いきや流星さまが戻ってきた音で目覚め、彼らに再びまとわりつき始めたらしい。
…終始やりたい放題じゃない…あぁ、もう…。穴にでも籠らせて下さい…
『おまえから襲うかも』その言葉がふいに甦った。…ち、ちょっと待って?ま、まさか?もしかしてわたし、襲……
「ねーよ!」
「ないよ?」
間髪入れず放たれた否定の声。口に出さずともやっぱり表情から読み取られたようだ…。
更に突き刺さる『何言ってんだこいつ』の視線は、笑ってごまかした。
「デロ酔いしてる女なんかとヤる趣味ねーし」
「襲わないし襲わせもしないよ、未結ちゃん」
「……」
そして改めて思ったけど…本当に彼らはよく似てる。
中身というか、根っこの部分が。
だから気が合うんだろうな。でなければいくら幼馴染だって、こんなに長くは続かないよね。少し羨ましい。
紫とわたしも続いていけるといいな。ずっと仲良しでいたい。彼らみたく。
──と、微笑ましくすら感じていたわたしは、後に思い知ることになる。
『仲良し』なんか一瞬で壊れるんだって。