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BeLoved.
第36章 【暴走】
「…っん。……?」
ふいに、目が覚めた。
辺りは暗闇と静寂に包まれている。
…あったかい。体中に感じる温もり。ここは布団の中?
隣から微かな呼吸音がする…目を凝らしてよく見ると、こちらに背を向けて眠っていたのは、今夜のご主人さまである麗さまだった。
徐々に記憶が甦ってくる。ああ、そうだ。わたしは彼に愛し尽くされて、果てて。満ち足りた気分のまま眠りに落ちたんだ。
「…あ」
ふと見ると、行為中にはだけられた筈の衣服は全て直されていた。多分見えないところも、きれいに払拭されているんだろう。
いつもみたく彼が全部してくれたんだ。恥ずかしさと申し訳なさと…何より、大切にされている事を改めて実感し嬉しさが込み上げた。
「…ありがとうございます、麗さま」
その髪にそっと触れる。
瞬間、彼が寝返りを打ちこちらを向いた。普段の険しい表情とは違う、無防備な寝顔。思わず口元が緩んだ。
…彼も満たされてくれたかな?幸せな気分だった。
今思えば想像もつかなかった。
このひとときが、嵐の前の静けさだったなんて。
──────────
枕元に置かれた携帯を取り時間を確認する。…午前2時。3時間は眠ったな?頭はかなりすっきりしてる。
「…お水…」
今度は喉の乾きを覚えた。彼を起こさぬよう気を付けながら、そっとベッドを降りた。
寝起きなのと…行為後のため、少し気だるい体を引きずり部屋を出る。
点けっぱなしの廊下の照明が、暗闇に慣れた目に刺さる。反射的に細めながら呟いた。
「…まだ帰ってないんだ…」