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BeLoved.
第38章 【罪と罰。1】
「悪い、黒井。俺男の尻に興味ねーから」
渾身の告白にも容赦なく安定の即断。わぁ、流星さまらしいなぁ。──って、違うから。
なに?なになに??なんなのこの展開??
碧くんが流星さまを好き?中学の時から?そこでハッとした。
確かに碧くんは言ってた。『中学の時からずっと好きな人がいる。その人以外考えられないんだよね』って。──まさかそれが流星さまのことだったなんて。これが噂に聞く超展開というもの…?
ででも…いくらなんでも積年の想いをあっさり断られてしまって、さすがに傷ついてしまったんじゃ…しかしそんな気遣いは、全く不要だった。
「んじゃ俺が男役っすね先生!」
「お前ふざけんなよ!!」
彼はめげていなかったのだ。それどころか──流星さまが翻弄されている。
自分と同等…あるいは、自分以上のマイペースな相手に初めて遭遇したのかもしれない。
「無駄口叩いてねーで仕事しろ!」
「はい!がんばります!!」
「オイ未結来い!行くぞ!!」
苛立ちを剥き出しにして。元々広い歩幅を更に広くして。流星さまはその場を去っていった。
わたしはと言えば。ニコニコと幸せそうに微笑む碧くんへの挨拶もそこそこに。慌てて後を追いかけたのだった。…走って。
─────────
「あー疲れた」
「……」
帰りの車内。チェックアウトからずっと無言だった彼は、最初に捕まった赤信号で停車すると、溜息と共にようやく言葉を吐き出した。
「帰ったら即行しよーな、未結」
「!!今日はもう麗さまの……、ん!」
戒めるように重ねられた唇。そして彼は、彼の全てが込められたあの言葉を言い放った。
「関係ねーな。俺が全てだ」
そこにいたのはもう、いつもの流星だった。