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BeLoved.
第38章 【罪と罰。1】
「楽しめた?」
「はい!とっても!」
夢の終わりを迎えて。名残惜しくもお部屋を後にし、廊下を歩いた。指を絡めて手を繋いで。
すると、脇の従業員用ドアから、大きなワゴンを押すリネン係らしい男性が姿を現した。いけない、広がって歩いたら邪魔になっちゃう。反射的に手を離して流星さまの背後に回った直後だった。
「あれっ?未結ちゃん?!」
「えっ…あ、碧くん?!」
「奇遇だね!俺ここのリネンでバイトしてて」
「──未結、誰?」
驚いた。その彼は…。予期せぬ再会に浸るより早く、頭上から冷めた声が突き刺さり。頭の中では即座に優先順位が決まった。
「あ…っ、わ、わたしの友達の弟さんです!ほら、夏に会った紫ちゃんの…」
「……あぁ!あの15分遅刻のアホ女か!!」
「〰️流星さま!」
「流星?」
実の弟さんを目の前にしての余りの物言い。嗜めの声に反応したのは…何故か碧くんだった。
「もしかして、有栖川先生?」
─────────
「やっぱそーだ!5年前□□中学に教育実習に来た、有栖川流星先生っすよね!?俺です俺!黒井碧(くろい あおい)!!」
「黒井?黒井…?」
「ほら部活!俺水泳部で!先生の背泳、超格好よかったっすよ!!」
「おー思い出した!変な名前の奴がいると思ってたんだよ懐かしーな!元気だったか?!」
なんとふたりは恩師(?)と教え子だったのだ。世間は狭いとはいうけれど、何もここまで…。驚きすぎて声が出せなかった。
「未結ちゃんスゲーね!彼氏が超絶イケメンの麗さんで、そのうえ有栖川先生とも知り合いなんてさあ!」
「あ、あはは…」
そうだ、碧くんは麗さまともL1NEし合うくらい仲良し(?)なんだった。下手なことは言えず笑ってごまかすしかなかったけど、再会の喜びに大興奮中の碧くんには、わたしと流星さまが『二人でホテルに来ていた』という現状はどうでもいいようだった。助かった…。
「でもこれ、運命かもしれないっすね!!」
ふと、碧くんの雰囲気が変わった。何かこう、達観したような、そんな感じ。かと思ったら意を決したように「言っちゃいます!」と叫び流星さまを見上げた。
「俺、中学ん時からずっと先生が好きでした!!」