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第6章 【家政婦ですから】

「未結おいで。話がある」

それは平日の午前中のこと。

流星さまはとうに出勤し、おうちには麗さまとわたしの二人。
洗濯をしようと洗面所にいたわたしは、そこに現れた麗さまによってダイニングに呼び出された。

「忙しいところごめんね。座って」
「あ…はい…」

促されるまま、真向かいの席に腰を下ろす。
すると麗さまは手に持っていた手帳のようなものを2冊。テーブルの上にそっと並べた。

「…これ、通帳…?」

それは銀行口座の通帳。麗さまはまず、わたしから見て右側の通帳を指差した。

『朝比奈未結 様』印字されている見慣れた表紙。そう、わたしのものだ。先日麗さまに言われてお預けしていたもの。

「うん。俺と流星、毎月ここに定額入金するから。やりくりはここからして。で、これは君が管理してね」
「あ、はい。………えええっ!?」

何の前触れもなく突然始まった、お金の話。
家計管理…しろってこと、だよね…?
わ、わたしが?…いいの??

今までのお勤め先では、お金なんて必要な時に必要な分だけ頂くことしかなかったから。戸惑うわたしをよそに、話は進む。

「よっぽどな使い方しなければ、俺らは基本何も言いません。足りなくなったら言ってね」

わたしはクレジットカード類にも電子マネーにも慣れていないだろうし、いちいち現金を渡すのも面倒だからこうさせてもらった。と麗さまは説明してくれた(ちなみに光熱費などは麗さまのところから引き去られることになっているそうだ)。
…た、確かにそうなんだけど…うぅ…。

「──で、未結の口座は給与受取り用にもさせてもらいました。生活費と合算して入れておくからね。これは給与明細。確定申告も忘れずにね」
「…お給料。ありがとうござ……?!ちょ、えっ?!」

差し出されたのは、何の変哲もない茶封筒。まだお勤めし出して一週間も経っていないのに?いいのだろうか。戸惑いつつも促され中身を確認した直後。驚きのあまり変な声をあげてしまった。

入っていたのは、便箋大の白い紙一枚。そこに記載されていたのは、給与の内訳と…以前の勤め先で頂いていたものの倍以上の金額だったのだ。
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