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BeLoved.
第40章 【『彼』の居ぬ間に。】
「!」
「あホラ、見てみー。未結」
『邪魔者がいない』その言葉にドキリとし、危うく荷物を落としそうになってしまった。
彼はお構い無く、いつもの飄々とした雰囲気でこちらに向かって手招きする。
「新調したの」
「え…」
呼ばれるまま覗き込んだ彼の自室。そこには今までと同じ位置に置かれた真新しいベッドがあった。新品独特の香りが鼻をつく。
「…前のは…」
「捨てたよ。使えねーもん」
「……」
その理由を知っていて、あまつさえ原因の一端であるわたしは口をつぐむしかなかった。しかし彼は涼しい顔のまま。…それが余計に怖くて萎縮してしまう。
「……怒ってま」
「そーだ見ろよこれ!俺が張ったの」
上手くね?!無邪気に笑う彼が指差した先はマットレスを覆う灰色のシーツ。所々皺が寄り、お世辞にも…きれいとは言えない仕上がり。
しかしこれまたお世辞にも器用とは言えない彼が頑張ったのだと思うと…強張っていた表情が解れていくのが判った。
「──で、だ!未結」
「?!」
突然世界が反転した。抱き上げられたのだ。荷物は床に残したまま、あれよあれよという間に運ばれ…ベッドに寝転がされた。
「俺繊細だから自分の匂いねーと不安なのよ」
「え…」
「あと、おまえの匂い」
「…!やっ…」
仰向けになった上に覆い被さった彼は、首元に顔を埋めてきた。触れる肌と…やや硬質な髪の感触がくすぐったくて。思わず身をよじってしまう。
「俺が満足するまで染み込ませてもらうから」
邪魔者居ねーんだし。その低い声での呟きは、わたしから拒否権も抵抗する意思も奪い去ったのだった。
───
「…ん…あっ、…ぁんっ」
一糸纏わぬ姿にされて。それだけでも充分恥ずかしいのに…犬のように四つん這いにされて。
「ひあっ!…ぁっ…やだぁ…っ」
剥き出しの背中に降り注ぐ口付け。それは腰の位置かと思えば次の瞬間には肩口にと無作為な移動を繰り返す。
そんな小さな刺激ひとつひとつにも翻弄されてしまって。いやいやをするように首を振った。
「背中好きだろ?いじられんの」
「やあぁ…っ」
意地悪く言う彼の舌は、今度は背骨のラインに沿いゆっくり遡ってゆく。それだけでも息はあがってしまうのに、辿り着いたうなじには甘く歯を立てられて。
回り込んできた長い腕は、逃がさないと言わんばかりにわたしを抱き寄せた。