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BeLoved.
第41章 【密室の獣】
「どうしたの?」
TVを消すために手にしたタブレットを脇に置いて。彼は再び覆い被さってきた。
「興奮しちゃった?」
「違…! …んん…っ」
与えられたそのキスは、反論を飲み込ませるもの。そして自分から必要以上に目線も気も逸らしたことを優しく咎めるもの。
「あ──…ふぅっ…」
なのに…気持ちよくて。たちまち夢中になったわたしは両腕を彼の首に回し、甘えるように絡み付いた。今まさに交わっている、舌のように。
「…!ふぁ…っ、あんっ…」
そのまま再開された、深部への煽動。彼の先端が触れる度に、突かれる度に…嬉しくて、気持ちよくて。そこはきゅんきゅんと疼きを増した。──なのに。
「…それとも」
「っ!やだ…っ」
彼が突然身を引いたことでいきなりその全ては奪われて。喪失感と淋しさで頭がいっぱいになって…情けない声をあげてしまった。
縋り付こうと伸ばしてしまった手が届くより先に、視界が反転して…慣れない香りが鼻をくすぐった。
「あ…」
四つん這い、じゃない。俯せ。体の前面をシーツに密着させた格好にされたのだ。
「なにか思い出した?」
「…!」
そのまま彼はわたしの背に覆い被さり、自身の先端をわたしの秘部に宛てがった。
熱と…脈打ちが伝わってくる。でもそれは濡れそぼった入口を上下に擦るだけで…侵入してはくれない。
──なにを『思い出した』のか、彼には解っているから。
「ゃ…っ、れ…っ、それ、ぃや…っ」
「未結ちゃん」
早く、早く、ほしい…。満たされたい。愛されたい。
頭の中はその思いで支配されて…哀願してしまう。しかし、返ってきたのは耳のそばで囁かれた静かな…命令だけだった。
「ちゃんと言って。"麗、きて"って」
「……!」
──本当は、こんな時にこんなことを思ってはいけないんだろうけど。
──本当に"彼ら"はよく似ている。何と言うか──根っこの部分が。
『求める』ことより『求められる』ことを望んでる。特にここしばらくはそれが顕著だ。──でもきっとそうさせているのは…わかってる。でも目を逸らした。だって
押し殺したはずの『本当のわたし』がそうさせたから。
「…て…」
そして、なにより──
「き…、て…?麗…」
今はただ、彼に溺れる──『雌』でいたかったから。