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BeLoved.
第41章 【密室の獣】
彼の熱で深部から溶かされて、高みに上り詰めさせられて。意識を手放してしまいそうになっても、すぐに新しい熱が快感と共に押し寄せ、それを許してくれない。
気持ちいいのに苦しくて、苦しいのに気持ちよくて。
…おかしくなってしまいそうで。そんなことが何度繰り返されたか。何度彼の名を叫び達したか。記憶がない。
頭を撫でたのを最後に、彼はベッドを降りた。その後ろ姿を目で追いながら、わたしはようやく解放され脱力しきった裸体をシーツに投げ出し、呼吸を整えていく。
サイドボードに置かれたスマホを手に取った彼は、画面を一瞥したただけですぐにそれを伏せ置き振り向いた。
「そろそろ出ようか」
彼がわたしに感じる『彼』のにおいと感覚。それらは彼が満足するまでには消せたのだろうか。とはいえ、場所が場所だけに滞在できる時間は限られている。
「ごめんね、宿泊はできないよ」
「…あ…!お、お仕事…ですかっ?」
「ううん。未結のカレー食べたいもん」
すっかり忘れていたもうひとつの『約束』。呆気に取られているうちに抱き上げられ、バスルームまで連れて来られた。
「最後はここでしようね」
「…!」
何処に仕込んで(?)いたんだろう。じゃれつくように頬を寄せた彼の右手には…避妊具の個包。
彼がわたしに感じる『彼』のにおいと感覚。それらはまだ、"彼が満足するまで"消し去られてはいなかった。
───────
「…も…、むり…れす…っ」
シャワーが立てる蒸気が包む浴室内。響くのは当然水の音と…わたしの、情けない哀願の声。
床に四つん這いにされて。何度目か知れない繋がりを持たされて。強制的に齎される快楽は…もはや脅威でしかなかった。
「"覚悟して"って言ったよ、未結ちゃん」
「──!」
そんなもの意にも介さない静かな声の直後。突然抱き起こされ膝立ちの状態にされ、体の前面が壁に押し付けられた。背中は…彼に密着されてる。
それはさっきベッドでされたような、体が固定され…与えられる刺激から逃げられない体勢。
「これ…っ …やあぁ…っ」
さっきと違い、重力は容赦なくわたしの奥底へと彼を沈めていく。今のわたしには酷なはずなのに…
「大好きだよ、未結」
「 …う!」
「全部ちょうだい」
首筋への優しいキスのあと、本当に…獣みたく噛み付かれても。わたしは……悦んでいた。